とうとう今年のツール・ド・フランスも最終ステージを迎えた。開催前日のドーピング騒動に始まり、有力選手たちが退いてしまい、今年のツールはどうなってしまうんだと思われたが、やはり感動を呼ぶシーンが多々あった。
初優勝を飾った者、惜しくも逃した者、落車して泣きながら去っていった者、大逆転で栄光をつかんだ者...。
4賞の選手たちが大集団前方を走るパレード走行の後、今年でレース・ディレクター職を退くJ・ルブラン氏が最後の公式スタートの旗を振る。マイヨ・ジョーヌを着用したF・ランディスを中心にフォナックの選手たちが並び、喜びを分け合っている。
3週間の厳しいステージレースを乗り越えてきた選手たちがお互いの健闘をたたえ合いながら、パリまでの道程をのんびりと走る。大集団の中は、さしずめ選手たちの社交場といったところだ。
と、突然ゲロルシュタイナーのL・ライプハイマーが大集団から飛び出した。しかし大集団から反応する追っ手はいない。かなりの勢いで飛び出した彼だったが、今度は急減速。沿道にバイクを停め、観客のごとく大集団に拍手を送っている!こんなパフォーマンスが飛び出すほど選手たちは開放感に満ちあふれている。
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ディスカバリーのJ・ブリュイネル監督が今ツールを振り返り、以下のように語る。
「このツールは、ディスカバリーにとって過渡期だった。マイヨ・ジョーヌを獲ったり、ステージ優勝もしたけれど、我々の目標はもっと高い位置にある。来年に向け改革を行わねばならない。ポポビッチは、アグレッシブに動いたね。今後は、フォーカスできる一人のリーダーを持つことが必要だ。」
いよいよ大集団がセーヌ川を越え、パリに至る。今年が最後のツールとなるV・エキモフを先頭にシャンゼリゼに突入した。彼の長い経歴と数々の功績に対し、敬意を表して特別な配慮だ。
メインの観客席前を手を振りながら走り抜けるエキモフ。大集団に戻る際にも、同じ旧ソ連出身のS・ゴンチャールにポンと背中を叩かれ、他の選手たちからもねぎらいの言葉をかけられる。彼の人となりがあってこその対応だ。
このセレモニーが終わるとパリの象徴、凱旋門前。いよいよ晴れのシャンゼリゼゴールを目指し、強者たちが名乗りを上げる。いくつかのアタックが生まれては大集団が潰していく。石畳をゴォーっという音を立てながら進む60キロ超の戦いは恐ろしいほどの勢いだ。
結局これらの試みはすべて潰され、逃げでのシャンゼリゼ制覇は厳しい状況。やはり集団ゴールのスプリンター競演となりそうな様相だ。
遂に最終周回の鐘が鳴らされる。残り数キロを残すだけとなったコンコルド広場前で、A・フレチャがアタック。しかしこれを凌ぐ速さで大集団をコントロールし、このアタックを吸収してしまったのは、先ほどセレモニーを終えたばかりのエキモフだ。
ただ静かにツールを去っていくのではない。最後の最後までアグレッシブに戦っている。ディスカバリーが企てた続くヒンカピー、ポポビッチの逃げは潰されたが、引退するエキモフから確実にヒンカピー、ポポビッチへバトンは渡された。次なるステップへ向け、きっと彼らが活躍してくれるはずだ。
ポポビッチの強力なアタックで分断されてしまった大集団だったが、さすが優勝を狙うスプリンターたちは前方の集団に残っている。マイヨ・ベールのマキュアンが先にターボチャージャーに点火するも、その後方から大きなギアをかけグイグイとまくり上げた、T・ハスホフト(C.A)がステージ優勝。はじめ良ければ、終わりも良し。プロローグと最終シャンゼリゼをハスホフトが獲り、今ツール2勝目を挙げた。
各賞の表彰に続き、ランディスが表彰台に登場する。アメリカ人として、3人目のマイヨ・ジョーヌ獲得者となった彼は、USポスタルで成長したのち、チームのリーダーとして大成することを夢見る。一度失いかけた夢を強い意志で自分の元へ引き寄せた彼は、こう語った。
「ボクはこのツールで学んだんだ。欲しいものは、勝ち取ることさ。人生も一緒だと思う。失敗したからといって、諦めちゃいけない。次の日にベストを尽くすんだ。」
ようやく和らいだ日差しの中に、表彰台で大きく両手を上げる英雄たちの姿が輝いていた。
今年も長い間、トレック ツール・ド・フランスレポートにお付き合いいただき、ありがとうございました。
VIVE LE TOUR ! ツールよ、永遠なれ。